ウェブアクセシビリティに関する法律/政策のデータベース (W3C)

以前、「ウェブアクセシビリティの法的な義務化について考える」という記事を書きましたが、それに関連する話として、W3C が「Web Accessibility Laws and Policies」というページを公開しているので、ご紹介します。

Web Accessibility Laws and Policies の画面
Web Accessibility Laws and Policies (スクリーンショット)

これは、ウェブアクセシビリティに関する法律 (Laws) と政策 (Policies) について、世界各国に存在するものをまとめたデータベースです。人力で地道に情報を集めて掲載しているようで、包括的で完全なリストというわけではありませんが (Introduction に "it is not a comprehensive or definitive listing" と書かれています)、それでも参考になるかと思います。

テーブルを見ると、国、法律/政策の名称、制定年、法律/政策の種別、スコープ (適用される組織の種類)、用いられている WCAG バージョン、といった情報が一覧表としてまとめられています。見出しセルでソート (昇順/降順の並べ替え) が可能になっているほか、フィルターも用意されているので、適宜テーブルの見通しをよくすることができます。用意されているフィルターは以下の通りです。

Scope (スコープ)
  • Government (政府機関)
  • Public sector (公的機関)
  • Private sector (営利企業や非営利団体)
WCAG Version Used (用いられているWCAG のバージョン)
  • WCAG 2.0
  • WCAG 2.0 の派生 (derivative)
  • WCAG 1.0
Type (法律/政策の種別)
  • Accessibility law : アクセシビリティ法
  • Accessibility policy : アクセシビリティ政策
  • Digital Governance law : デジタルガバナンスの法律
  • Mandatory policy : 義務的な政策
  • Non-discrimination law : 差別禁止法
  • Procurement law : 調達法
  • Procurement law, Accessibility law : 調達法およびアクセシビリティ法
  • Procurement recommendation : 調達勧告
  • Proposed law : 法案
  • Recommendation : 勧告

たとえば「民間企業 (Private Sector) のウェブサイトに対して、WCAG 2.0 (またはその派生) への適合を法律で求めている国」を見てみると、現時点では Australia (オーストラリア)、European Union (欧州連合)、Ireland (アイルランド)、Israel (イスラエル)、Norway (ノルウェー)、Republic of Korea (韓国)、Switzerland (スイス)、United Kingdom (英国)、United States (米国) であるということがわかります。フィルター設定に応じて URL の末尾に引数が追記されるので、たとえばこのようにユニークな URL として共有することもできます

WCAG 2.0 に関しては、その適合レベル (A なのか AA なのか) まではこのテーブル上ではわかりませんが、法律/政策の名称 (Name) のリンクを辿ると詳細情報を参照することができるので、そこで適合レベルに関する情報を得ることができます (情報がない場合もありますが)。

なお上述のとおりこのデータベースは、包括的で完全なリストにはなっていないこともあり、随時提案やコメントを受け付けています (専用フォーム、メール、GitHub Issue、の3種類の方法が用意されています)。たまたま、カナダのオンタリオ州の法規制 (Accessibility for Ontarians with Disabilities Act に基づくアクセシビリティ法) が掲載されていなかったのでフィードバックを送ろうとしたところ、すでに GitHub Issues (New Entry for Canada #327) で指摘が上がっていたので、そこに便乗する形で私もコメントを追記してみました。

「今、世界でどのようなウェブアクセシビリティの法規制があるのだろう?」という問いに答えられる情報源が案外見当たらないので、このデータベースの拡充には今後も期待したいと思います。

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