Form follows function

米国の建築家ルイス・サリヴァン氏の有名な言葉に、「Form follows function (形態は機能に従う)」というフレーズがあります。デザインは、機能性を追求することで、おのずとよいものになる、という思想ですが、当時 (19世紀後半から20世紀にかけて) は建築において新しいテクノロジー (鉄骨) が使われるようになって、旧来の様式にとらわれない高層建築物のデザインが可能になったことも影響しているようです。こうした機能主義に対しては様々な論争があったりするのですが、フレーズ自体がキャッチーということもあってか、現代の新しいテクノロジーであるウェブサイトやアプリケーションの UI デザインについて語られる際にも、しばしば用いられます。

個人的には「UI やインタラクションのデザインにおいては見た目のインパクトよりも実用性が優先されるべきで、機能がわかりやすく使いやすいものでなければならない」という戒めをこのフレーズから感じますが、同時に、デザインされたものの形態 (Form) のベースが「機能」とされていることに、若干もやもやを感じるのも正直なところです。

「機能」はユーザーにとってあくまでも手段であって、その前提にはユーザーのゴールやニーズ (解決したい課題や得たい体験) があるはず。そして、ゴールを具現化したりニーズを満たすためのユーザー行動があって、形態は、むしろこのユーザー行動に寄り添うべきではないか。...などと考えてしまうのです。ここで敢えて「従う」ではなく「寄り添う」と表現していますが、単にユーザーの意向に迎合する (HCD/UCD が陥りやすい罠と言えるかもしれません...) のではなく、デザインの創意工夫によってユーザーを無意識的にエンパワーするような UI が理想的なのかな、と思っています。

時折目にする有名なフレーズなので、少し自分の考えを整理する意味で、書いてみました。