サイトやページのアバウトネス (aboutness)

Web サイトや Web ページをデザインするにあたっては、そのアバウトネス (aboutness) を明確にすることがとても大切です。

アバウトネスとは、そのサイトやページが「何であるか? (どんな情報を提供しているのか?)」ということです。もともとは、図書館情報学 (LIS : library and information science) や言語学で使われる用語だったようです (参考 : Aboutness - Wikipedia)。

Jacob Nielsen 氏は「How Long Do Users Stay on Web Pages?」という記事 (2011年9月) で、「ユーザーの多くは10秒から20秒ほどで Web ページから離脱するが、ユーザーにとって価値ある情報が提供されていれば (そしてそれをユーザー自身が最初の10秒ほどで認知できれば) ユーザーがページに留まってくれる可能性は高まる」とリサーチのデータを交えつつ述べています。サイトやページのアバウトネスをできるだけ素早くユーザーに伝えること (ひいては「このサイト (ページ) は自分の目的に合っている」とユーザーがスムーズに確信できるようにすること) が求められると言えるでしょう。

アバウトネスをユーザーに伝える要素

サイトやページのアバウトネスをユーザーに伝える要素としては、たとえば、以下のようなものが挙げられます。

これらの要素を複合的に活用して、アバウトネスが正しく瞬時に理解されるようにしましょう。

5秒間テスト (five second test)

アバウトネスが適切にユーザーに理解されているかを検証する方法としては、5秒間テスト (five second test) がよく知られています。これは、ユーザーに5秒間だけ画面を見せて、ユーザーの記憶 (どんな内容か、何ができそうか、など) を挙げてもらう、というテストです。5秒間テスト単独で、手早く多くの人にテストしてもらうのもよいですし、ユーザビリティテストの1タスクとしてやってみるのもよいでしょう。

また、5秒間テストは元来、5秒間だけ見せた後ユーザーの印象に残ったものを挙げもらう (つまりユーザーの短期記憶に全面的に依存する) ものですが、実際の Web 閲覧行動においてはそういうユースケースはあまり無いので、特に5秒という制約は設けずに画面を見てもらいながら「このサイト (ページ) はどういうものだと思いますか?」「何ができそうだと思いますか?」について思考発話法 (think aloud) で挙げてもらう、という形でもよいと思います。(モデレーターが介在しない) 遠隔ユーザビリティテストを利用して、アバウトネスが適切に理解されるかを多くのユーザーに低コストで試すことも可能です。

モバイル機器での閲覧にも配慮

スマートフォンなど画面サイズの小さなモバイル機器の場合、一度に表示できる情報量が少なくなるので、サイトやページのアバウトネスが伝わりにくくなりがちです。実際、レスポンシブ Web デザイン (RWD) で作られたサイトのホームページを、ユーザビリティテストでユーザー (テスター) に見せて「このサイトはどんなサイトだと思いますか?」と聞いたところ、閲覧デバイスが PC のときは比較的適切にアバウトネスが感じ取られていたのに対し、閲覧デバイスがスマートフォンのときは「よくわからない」と答えたユーザー (テスター) が多くて驚いた経験があります。

スマートフォンで表示されるサイトはナビゲーションメニューが展開表示されていない (具体的な個々のメニュー項目がいわゆる「ハンバーガーアイコン」の裏に隠れていて見えない) ものが多く、また、ブラウザのタイトルバーやタブが無かったり短かったりでページタイトル (<title> 要素) の情報を得ることもできません。それらを補う意味でも、メインコンテンツでアバウトネスを十分に伝える工夫が必要です。タグラインが抽象的すぎたり、リード文が無かったり、メインビジュアル (ヒーローイメージ) がサイトやページのテーマを端的に表わしたものでなかったり、適切に見出しを付けていなかったり...といったデザインに陥っていないか、ご自身のサイトをチェックしてみるとよいでしょう。また、アバウトネスの表現を、チャンク (情報の塊) のレイアウトに依存しすぎている場合、閲覧デバイスによってレイアウトが変わり伝わる印象も変わってしまうことがあるので (特に RWD で作られているサイトの場合)、要注意です。

PC ではそれなりにアバウトネスが類推できても、それだけでは不十分です。ユーザーのWeb 閲覧デバイスが多様化してゆくことを前提に、メインコンテンツを一瞥しただけでアバウトネスが明確に伝わるよう意識的にデザインすることが、今後ますます求められると思います。

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