アクセシビリティはデザインを制約する?

Web サイトのアクセシビリティを担保するための施策を提言したりガイドラインを策定しようとしたりすると、それを「デザインに対する制約」と捉える人が少なくありません。

そういう意見も、わからないではありません。実際、色の使用、文字サイズ、テキスト表現 (ラベリングや代替コンテンツを含む)、キーボード操作、音声の制御、認知/学習の妨げの防止、発作の防止…など、様々なことを考慮して見た目やインタラクションを設計/実装しなければならず、そう考えると、ある意味「デザインを制約している」と言えそうです。

でもそれは、もしかしたら「目的」と「手段」を混同した考えかた、かもしれません。

Web サイトにおけるデザインとは、サイトの利用を通じてユーザーの課題解決を手助けすること (ひいてはユーザーに満足してもらうこと)、だと私は考えています。そして、デザインによる表現物 (成果物) は、それ自体は「目的」ではなく、ユーザーの課題解決を手助けする「手段」だと考えています。

そううえ、「手段」として産み出される表現物 (成果物) はデザイナーによって十人十色だったりします。つまり「目的」達成をサポートする「手段」は唯一無二ではなく、色々なやりかた (表現) があると考えることができそうです。

アクセシビリティは、「手段」に対して制約を課すかもしれませんが、ユーザーの課題を解決するという「目的」に制約をかけるものではありません。むしろ、アクセシビリティは、より多くのユーザーの「目的」達成をサポートするものです。

アクセシビリティを「デザインに対する制約」と考えるのは、「手段」の引き出しが偏っている作り手側 (あるいはサイト運営側) の言い訳なのかもしれません。

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