ロービジョンの「見えにくさ」を疑似的にシミュレーションできる Google Chrome アドオン「NoCoffee Vision Simulator」

視覚障害の一種に、「ロービジョン」があります。

ロービジョンとは、眼鏡やコンタクトレンズを使っても十分に視力が回復せず、生活に不便を感じる状態 (またはその人) のことを言います。ひとことで言うと「見えにくい」障害の総称です。

実際、どんなふうに見えにくいのか、また、その見えにくさの程度はどのくらいなのか、については人によって千差万別です。そんな、ロービジョンの人が抱える多種多様な「見えにくさ」を、疑似的にシミュレーションできる Google Chrome のアドオンがありますので (「NoCoffee Vision Simulator」といいます) ご紹介します。

使用方法

Google Chrome (Windows および Mac) を開いた状態で、「Chrome ウェブストア」の「NoCoffee」にアクセスし、アドオンを追加します。

アドオンの追加が完了すると、Google Chrome のアドレスバーの右側にアイコンが表示されますので、押してみましょう。「No Coffee Vision Simulator」というウィンドウが開きます。

Google Chrome で「NoCoffee Vision Simulator」のウィンドウを開いた様子。
NoCoffee Vision Simulator のウィンドウ

このウィンドウで、スライダーを動かしたりするだけで、以下のような「見えにくさ」を簡単にシミュレーションすることができます。

ぼやけ
Blur (low acuity)」のスライダーを動かすと、ぼやけて見える様子を疑似体験できます。
光に対する感度
Contrast loss」のスライダーを動かすと、暗く見える (光を感じにくい) 様子を疑似体験できます。「Glare」のスライダーを動かすと、眩しく見える (光を敏感に感じ過ぎてしまう) 様子を疑似体験できます。
ぶれ
Ghosting」のスライダーを動かすと、二重にぶれて見える様子を疑似体験できます。
色覚特性
Color deficiency」のプルダウンメニューから選ぶと、様々な色覚特性 (P型、D型、T型、A型) による見えかたを疑似体験できます。
中心暗点
「Partial visual field」の中から「Peripheral only」を選択すると、中心暗点 (視野の中心が見えない様子) を疑似体験できます。「Strength/size」のスライダーを動かすことで、中心暗点の大きさをいろいろ変えて見ることができます。
視野狭窄
「Partial visual field」の中から「Central only」を選択すると、視野狭窄 (周辺視野が見えない様子) を疑似体験できます。「Strength/size」のスライダーを動かすことで、視野狭窄の度合いをいろいろ変えて見ることができます。

この「NoCoffee Vision Simulator」の優れているところは、スライダーによって「見えにくさ」の程度を変えることができること、複数の種類の「見えにくさ」を同時に持つケースについても併せてシミュレーションできること、それによって、ロービジョンによる「見えにくさ」が実に多種多様であることを、疑似的にではありますがわかりやすく体感できること、だと思います。Web 制作の現場だけでなく、Web アクセシビリティの普及/啓発の場でも、使えそうですね。