CSS Nite in SHIZUOKA, Vol.3「アクセシビリティ・ミーティング」で講演させていただきました

2012年5月26日、グランシップ (静岡市) で開催された CSS Nite in SHIZUOKA, Vol.3「アクセシビリティ・ミーティング」にて、「ユーザビリティ/ユーザーエクスペリエンス (UX) の視点で考えるアクセシビリティ」というテーマでお話をさせていただく機会に恵まれました。

植木 真さん (インフォアクシア)、清家 順さん (ユニバーサルワークス)、神森 勉さん (KDDI ウェブコミュニケーションズ) という Web アクセシビリティの世界では超有名で実績もある方々とご一緒させていただき、とても刺激的で得難い体験ができたことに、心から感謝しております。

このたび、CSS Nite in SHIZUOKA の公式サイトで各セッションのフォローアップが公開されたことを受け、私のセッションスライドを Slideshare に公開しました。以下、ご覧いただけます。

ユーザビリティ/ユーザーエクスペリエンス (UX) の視点で考えるアクセシビリティ (CSS Nite in SHIZUOKA, Vol.3)

今回のセッションでは、Web アクセシビリティが目指すべきところとして、JIS X8341-3:2010 を満たすだけでなく「障害、高齢、その他の条件が制約にならずにユーザビリティを向上させること」までをも含めて考えたい、というお話をしました。「アクセシビリティ」「ユーザビリティ」「ユーザーエクスペリエンス」の関係を整理するにあたって、ISO 9241 (Ergonomics of human-system interaction) というひとつのモノサシを (少々カタイかな、と思いつつ) 使いましたが、「ユーザーが、障害者や高齢者であっても、あるいはその他の条件 (使用端末や利用状況) を持っていたとしても、最終的には個々のユーザーの特定のゴールをスムーズに、快適に達成できることが大切」という意識を共有できたらいいな、という意図がありました。

そのうえで、アクセシビリティ向上とユーザビリティ向上は不可分という考えに立ち、いくつかユーザビリティ向上のための手法を、アクセシビリティに絡める形で簡単にご紹介しました (JIS X8341-3:2010 の達成基準をベースとしたヒューリスティック評価、障害者に協力してもらうユーザビリティテスト、スクリーニングテクニックや支援技術を用いたウォークスルーテスト)。また、アクセシビリティを意識した情報アーキテクチャ (IA) についても言及しました。

今後の展望としては「UX (を得るための手段) の多様化がアクセシビリティを後押しする時代」になるだろうとし、例として「モバイルの普及 (通信環境やマシンスペックの制約、リニアライズなど表示上の制約)」「ユーザー主導の閲覧環境選択 (Instapaper や Readability など、ユーザーが好きな形に改変して読むスタイル)」「新しいインターフェース (Siri など従来なかった意思疎通の方法が具現化しつつあり、一層マシンリーダブルでセマンティックなコンテンツづくりが重視される)」を挙げました。

そして結びに、Tim Berners-Lee の名言「The power of the Web is in its universality. Access by everyone regardless of disability is an essential aspect.」を引用させていただきました (参考記事 : アクセシビリティはウェブの「標準品質」)。ウェブというメディアにおいてアクセシビリティは「当たり前」であって欲しい、その「当たり前」を前提に、ユーザーが(障害、高齢、使用端末、利用状況、その他様々な条件を持っていたとしても)スムーズに/快適に個々人のゴールを達成できることを目指したい、という想いを込めてみました。

今回のセッションは、広い視点からのやや抽象的なお話に終始しましたが、また機会があれば、より具体的なお話もできたらいいな...と思います。