マルチスクリーンのユーザー行動 (Google の調査)

モバイル機器 (スマートフォンやタブレットデバイス) の登場以降、複数のデバイスを使って Web を利用することは、珍しくなくなっています。

そんな中、Google が2012年8月に「The New Multi-screen World : Understanding Cross-Platform Consumer Behavior」という調査レポートを公開しました。2012年第二四半期の米国における、消費者のメディア利用行動を調べたもので、調査参加者 (1,611名) に各メディアの利用記録をつけてもらうと同時に、オンラインサーベイを実施したそうです。

今回はこの調査レポートの内容について、かいつまんでご紹介したいと思います。ご興味のある方は、併せてレポート原文 (PDF) もご覧いただければと思います (インフォグラフィックがとてもわかりやすいです)。

TechCrunch がこの調査レポートを スライドにして Scribd にアップロードしています ので、本記事にも貼り付けてみました。スマートフォンでご覧の方は、横向き (ランドスケープ) にしていただくと見やすくなると思います。

メディアへの接触は「スクリーンを介して」が圧倒的

消費者がメディアに接する時間のうち、90%は、スクリーンを介しているそうです (スマートフォン、タブレット、PC、テレビ)。スクリーンを介さない形でのメディアへの接触 (ラジオ、新聞、雑誌) は、わずか10%にとどまります。

また、メディアへの接触時間は、スクリーンの大きさに比例するようです。一回あたりのメディア接触平均時間を調べたところ、スマートフォンで17分、タブレットで30分、PC で39分、テレビで43分、という結果が出ています。

コンテキストに応じて選択されるデバイス

消費者がメディアに接する際、どのデバイスを選択するかは、置かれている状況 (コンテキスト) によるところが大きいようです。コンテキストには、たとえば以下の要素が絡み合っています。

おおざっぱに言うと、PC を使う動機付けとしては「生産的なタスク処理」「腰を据えた情報収集」、スマートフォンを使う動機付けとしては「他者とのコミュニケーション」「ちょっとした娯楽」、タブレットを使う動機付けとしては「家でくつろいで楽しむ娯楽 (エンターテインメント)」が多いようです (一概には言えないかもしれませんが)。

複数のスクリーンデバイスの使われかた

あるユーザーが複数のスクリーンデバイスを使う際、その使われかたは、大別すると「時と場合に応じて持ち替える (sequential usage)」と「同時に使用する (simultaneous usage)」のふたつがあります。

時と場合に応じて持ち替える (sequential usage)

複数のスクリーンデバイスを使っているユーザーの90%は、この方法を採ったことがあります。「スマートフォンで調べてから、後で詳しく PC で調べる」といった具合です。

その際に起点となるデバイスは、スマートフォンが圧倒的に多いという結果になっています (様々なユーザー行動の5割から6割程度が、スマートフォンから始まっています)。意外にも、タブレットが起点となるケース (ユーザー行動の1割程度) は PC が起点となるケース (ユーザー行動の3割程度) よりも少ないですが、これは、タブレットデバイスの普及度合いがそれほど大きくないからかもしれません。

なお、複数のデバイスを持ち替える際には、ユーザーは検索をして「それまで見ていた情報」にアクセスし、そこから続きを行なう...というパターンがもっともポピュラーのようです。先日、「異なるデバイス間でシームレスに Web を閲覧する機能」という記事を書きましたが、デバイス間の同期機能が広く使われるようになるのは、まだまだこれからなのかもしれません。

同時に使用する (simultaneous usage)

「時と場合に応じて持ち替える」ほど多くはありませんが、複数のスクリーンデバイスを同時に使用するユーザーも多くいます。スマートフォンとテレビの同時使用は81%の人が経験している (同様に、スマートフォンと PC の同時使用は 66%、PC とテレビの同時使用は66%)、という結果が出ています。

その際、「一緒に使われるデバイス (companion device)」としてもっとも多いデバイスは、スマートフォンです。

ちなみに、複数デバイスの同時使用は、大別すると「マルチタスク (multi-tasking)」と「補完的使用 (complementary activities)」にわけられますが、前者が圧倒的のようです (78%対22%の割合)。いわゆる「ながら族」的な使われかたが多いと言えます。

「思い立ったらすぐに (spur-of-the-moment)」な Web アクセスが増加

モバイル機器の普及によって、手近にあるデバイスで気軽に Web にアクセスすることが当たり前になったことで、「思い立ったらすぐに (spur-of-the-moment)」 Web にアクセスすることが増えてきています (スマートフォン利用の実に8割がこれに当たるという結果が出ています)。複数デバイスを使い分けることによって「隙間時間 (found time) を有効利用する」ように行動が変わったという人も少なくないようです。

この傾向は、単に情報をブラウズするだけでなく、ショッピングにおいても見られます。モバイル機器によって「思い立ったらお買い物」という行為が増えており、特にスマートフォンによるショッピング行動の81%がこれに当たるという結果が出ています。PC でのショッピングもこれに影響されてか58%が「思い立ったら」となっており (これに対して「あらかじめ予定していたお買い物」は42%)、モバイル機器は、オンラインショッピング (eコマース) の間口を広げたと言えるかもしれません。

なお、ショッピングにおいても、複数デバイスを (時と場合に応じて) 持ち替える人は多いようです (調査参加者の67%におよびます)。その際に起点となっているデバイスは、やはりスマートフォンがもっとも多く (65%)、次いで PC (25%)、タブレット (11%)、という結果になっています。


スマートフォンやタブレットなど、Web にアクセスできるデバイスの多様化が進むことによって、Web サイトのデザイン (設計) にも「クロスチャンネル」な考え方 (複数の顧客タッチポイントで構成されるエコシステム、点ではなく線で捉えるユーザー行動、など) が戦略的に求められるようになっています。今回ご紹介した調査レポートは、その際の基礎情報として、参考になると思います。

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