ALTAIR(アルティア)for Windows

無料で使える音声ブラウザの例として、Firefoxのプラグインである「Fire Vox」について触れたことがありますが(ご参考:Fire Vox(Firefoxで音声読み上げ))、日本語の音声合成エンジン(SAPI5)が別途必要で、それ自体は無料で入手できない(MS Officeを買うか、SAPI 5対応の日本語音声合成エンジンが入っているソフトウェアを買うしかなさそう)ため、視覚障害者がWebサイト(ホームページ)を閲覧するには、エクストラなコストがかかってしまうではないか?という疑問を抱いていました(健常者にとっては、ブラウザ自体無料ですし、そう考えると、エクストラなコストがかかる時点で、アクセシブルでないような気がして...)。

そんな中、(恥ずかしながら最近になって)日本語の音声合成エンジンが入っていないパソコンでも使える、無料の読み上げツールがあることを知りましたので、ご紹介したいと思います。

それは、「ALTAIR(アルティア) for Windows」というソフトです。

財団法人 日本障害者リハビリテーション協会 (JSRPD)が開発したものですが、視覚障害者、弱視者、盲ろう者(視覚と聴覚の重複障害を持っている人)の方々が利用しやすいように設計され、無償提供されている統合ソフトウェアです。単に音声読み上げだけでなく、弱視対応(背景色や文字サイズのコントロール)もサポートされており、さらに点字ディスプレイを接続している場合は点字表示も可能です。また、Webページだけでなく、Wordファイル、Excelファイル、PDFファイル、PowerPointファイル、一太郎ファイルなど、様々なファイル形式を扱えるようになっています。

ALTAIR for WindowsでWebsite Usability Infoを開いたところ
実際にダウンロードして使ってみましたが(上の画像は、ALTAIR for Windowsを使ってWebsite Usability Infoの「アクセシビリティ指針」のページを開いたところです)、マウスではなくキーボード操作を前提にしたユーザーインターフェースなので、使いこなすには少し慣れ(学習)が必要です。
とはいえ、いわゆる健常者(Webサイトの制作や運営に携わっている多くの人がそうでしょう)にとっても、以下の点で、とても意義のある素晴らしいツールだと思います。

  • 無料で音声読み上げのチェックができる(Webページだけでなく、PDFなども)
  • 視覚障害者がどのようにWebを使っているのかをリアルに疑似体験できる

フリーランスのWebデザイナーなどで「お金が無い」という方でも、これなら手軽に、音声合成エンジン込みの音声読み上げ環境が入手できます。ぜひ積極的に活用していただき、少しでもアクセシビリティの高いサイト作りを意識していただければ嬉しく思います。

なお、取り扱い説明として、「ユーザーズ ガイド」と「リファレンス ガイド」が下記のとおり用意されていますので、実際のご使用にあたっては、これらをご参照ください。