モバイル用ブラウザにこそ期待したい「テキストのみの拡大」機能
このサイトをご覧になってる皆さんの多くも恐らくそうだと思いますが、私は移動中に、スマートフォンやタブレットでウェブにアクセスして、記事などを読むことがよくあります。その際、字が読みにくく感じることがしばしばあります。年齢的にそろそろ老眼の疑いも無くはないのですが、仕事の後にドライアイなどで目が疲れていたり、交通機関に乗っていて揺られていたりすると、「もう少し字を大きくできたらな」と思います。
もちろん「ピンチ＆ズーム」のタッチジェスチャで表示を拡大する (ページ全体をズームする) ことはできますが、そうなると、読みながら (縦スクロールに加えて) 横スクロール操作もしなければならず、地味に面倒です。PC に比べて画面表示のサイズが小さく、外出時の使用が多いモバイルデバイスのブラウザにこそ、ぜひ「テキストのみの拡大」機能が標準で装備されていて欲しいものです。
Android のブラウザ
Chrome
嬉しいことに、Android 版の Chrome では「テキストのみの拡大」が標準で可能になっています。Chrome の設定メニューの中の「ユーザー補助」で、「テキストの拡大/縮小」の調整ができるようになっています。(スライダーで、任意の大きさに設定できます。)
設定画面へのアクセス自体がモーダル (テキストサイズを変更しようとするたびに、わざわざ設定メニューに潜る必要があり、設定メニューから抜け出さないとウェブページの表示に戻ることができない) なので面倒ではありますが、それでも、この機能があること自体はありがたいと思います。
Firefox
Android 版の Firefox にも、同様の機能が標準装備されています。Firefox の設定メニューの中の「表示」で、「テキストサイズ」の調整ができるようになっています。(「最小」「小」「中」「大」「最大」の5段階で設定できます。)
ちなみに、私の手元の Nexus 7 で試したところ、ここでの設定は実際のウェブページの表示に反映されないようです (バグでしょうか...？)。いずれにしても、Chrome 同様、設定画面へのアクセス自体がモーダルですし、サイズ変更の粒度も粗いので、「いまいち」感は拭えません。
iOS のブラウザ
iOS のメジャーなブラウザ (Safari および Chrome) には、このような「テキストのみの拡大」は標準機能として装備されていません。個人的には、少なくとも、iOS のデフォルトブラウザである Safari には「テキストのみの拡大」機能が備わっていて欲しいと思います。
あるいは、iOS の「設定＞一般＞アクセシビリティ＞より大きな文字」の設定が、Safari 内のウェブページのテキストにも適用される、という形でもよいかもしれませんが、そのような一律的な処理をしてしまうと、ウェブページによってはレイアウト崩れを起こしてかえって読みにくくなる恐れがありそうです。また、設定画面へのアクセス自体もモーダルなので、ウェブページの表示を再確認してやっぱり Undo しよう...などというときも、面倒そうです。
使いやすい「テキストのみの拡大」機能を考える
というわけで、モバイルデバイス用のブラウザには、使いやすい「テキストのみの拡大」機能の標準装備を期待したいところです。複雑なタッチジェスチャが難しいユーザーへの配慮として、モーダルな設定画面は必要だと思いますが、ショートカットとしてなるべくモードレスな使用感が実現できれば理想的です。
たとえばですが、ウェブブラウザにおいては、画面の向き (ポートレートかランドスケープかが検出されている状態) に対して垂直方向 (12時ないし6時の方向) の「ピンチ＆ズーム」を受けた場合はテキストのみを拡大し、それ以外の方向 (水平方向や斜め方向) の「ピンチ＆ズーム」を受けた場合はページ全体をズームする...というインタラクションは、どうでしょうか。
ページ幅は変えずに (横スクロールの必要なく) 読みやすく表示を大きくしたい、というユーザーの気持ちを「垂直方向 (12時ないし6時の方向) 」に込めてみたつもりですが...イディオムとして成立しうるかどうかは要検証ですね。テキストのみを拡大したいか、ページ全体をズームしたいかは、同じユーザーでも時と場合によって異なる (つまり機能としては両方欲しい) と思いますので、モードレスに使い分けできて、どちらもスムーズに調整できたらいいな、と思います。