インタラクションをロールプレイングで検証する

すぐれたユーザーエクスペリエンス (UX) を提供するためは、ユーザーを「人間」として尊重することが欠かせません (参考 : ユーザーを「人間」扱いしていますか?)。Web サイトにおいては、個々のインタラクションが人間的である、つまり、人間であるユーザーをないがしろにしていないこと (冷たくあしらっていないこと) が大切です。

インタラクションが人間的であるかどうかを検証するひとつの手法として、ロールプレイングを採り入れる、という考えかたがあります。まずは、以下のビデオを見てください (英語ですが、字幕があるので、なんとなくわかるかな、と思います。)

Role-Playing the Interaction

これは、インタラクションデザイナーの Stephen Anderson 氏 (「Seductive Interaction Design: Creating Playful, Fun, and Effective User Experiences」の著者としても知られています) が実践したロールプレイングのデモで、「1日がかりのワークショップを実施するためのミーティングスペースが必要 (+朝食や昼食などのケータリングも欲しい) で、アムステルダムにあるホテルのサイトの予約フォームを利用する」様子が、ユーザーとシステム (フォーム) との対話という形で演じられています。1分42秒から4分31秒にかけてを見ると、人間味の無いフォームの振る舞い (いかにシステムがユーザーをないがしろにしているか) が見て取れます。

このようなロールプレイングによって、現状の問題点についての気づきを得ることができ、また、これからデザインするインタラクションのあるべき姿を見出すこともできるでしょう。ステークホルダーも交えて、チームメンバー皆で、楽しく、できそうなのも興味深いです。特に、eコマースや、金融取引、各種予約、細かな条件指定による検索、など、Web だけで完結する比較的複雑なフォームインタラクションを持ったサイトであれば、有効な検証方法だと思います。

ただ実際には、二人で配役を決めて演じるというのは、やや大掛かりで (恥ずかしさもあって) 難しいという人もいるでしょう。より手軽に、自問自答の一人芝居のような形でもよいかもしれませんし、私自身よくやるのですが「ひとり think aloud (思考発話) ウォークスルー」をしてみる (自分はユーザー役を演じるだけで、システム役はいないのですが、とにかく think aloud で頭に浮かんだことを呟く) だけでも、いろいろ細かな気づきは得られます。

皆さんそれぞれの、チーム事情 (人数、場所、雰囲気、メンバーの「ノリ」、など...) に合った形で、演じてみてはいかがでしょうか。