iOS 6 の Safari で「スマート検索フィールド」が採用されていないことについて

(2014年7月5日追記)

その後、iOS 7 においては、「スマート検索フィールド」が採用されています。詳しくは「iOS 7 Safari レビュー」をご参照ください。

先の記事「OS X 版 Safari 6 レビュー」で、Mac 用の Safari が「スマート検索フィールド (アドレスバーと検索窓が一体化したフィールド)」を採用したことに触れて、iOS 版 Safari についても下記のような予測をしていました。

本来であればこういった一体化フィールド (スマート検索フィールド) は、表示領域の制約から、むしろモバイルでこそ歓迎される UI でしょう。その意味で、今回の OSX 版 Safari の変更 (スマート検索フィールドの採用) は、iOS 版 Safari にもいずれ反映されるだろうと思います。

その後、iOS 6 がリリースされましたが、iOS 版 Safari ではスマート検索フィールドが採用されておらず、アドレスバーと検索窓は未だ別々になっています。

アドレスバーと検索窓が別々になっている iOS 版 Safari
アドレスバーと検索窓が別々になっている iOS 版 Safari

「シンプルなユーザーインターフェース (UI) にできる」「デスクトップ/ノートブックの Mac (OS X 版 Safari) と一貫性のある使用感をユーザーに提供できる」...という利点があるにもかかわらず、なぜ iOS 版 Safari ではスマート検索フィールドが採用されなかったのか、気になるところです。

ちなみに、PC 用ブラウザで当初から一体型のアドレスバー/検索フィールドを採用している Google Chrome は、当然のように モバイル (iOS および Android) 用アプリでも同様のアプローチをとっていて、アドレスバーと検索窓を分離していません。

アドレスバーと検索窓が一体化している iOS 版 Google Chrome
アドレスバーと検索窓が一体化している iOS 版 Google Chrome

タッチインターフェースでは「検索のしなおしが億劫」だから?

iOS 版 Safari でスマート検索フィールドが採用されなかった理由として、ひとつ考えられるのは「検索後、色々なページを遷移して閲覧しながらも、一度入力した検索クエリは維持しておきたい」からかもしれません。個人的にはこの感覚は、デスクトップ/ノートブックの Safari や Chrome を使っていて時々感じることではありますが、モバイル機器 (タッチインターフェース) の場合はなおのこと、文字をタイプするのが面倒なだけに、検索しなおす (クエリを再入力する) のが億劫だったりします。

たとえば以下のような具合です (一体型のアドレスバー/検索フィールドを採用している iOS 版 Chrome で試してみます)。

「こんどの週末、江ノ電にふらりと乗ってみたいな。家族で (子供を連れて) ランチできる沿線のお店はあるかな。」などと考えて、まずは「江ノ電沿線 ランチ 子連れ」というキーワードで検索します。

「江ノ電沿線 ランチ 子連れ」というキーワードで検索
「江ノ電沿線 ランチ 子連れ」というキーワードで検索

SERPs (検索結果) から、あるサイトを開きます。開いたサイトからさらにリンクを辿るなどして、いくつか複数のサイトに行くこともあるでしょう。

SERPs (検索結果) からサイトを開く
SERPs (検索結果) からサイトを開く

その後、もう一度検索しなおそうと思いました。たとえば少しだけ条件を変えて「鎌倉 ランチ 子連れ 個室」と検索クエリを入力しようとします。その場合、アドレスバーを兼ねた検索窓をタップし、いったん URL を消す操作をして、そのうえで、もう一度、クエリをはじめから入れなおす必要があります。

アドレスバー/検索フィールドをタップしてURLを消してから...
アドレスバー/検索フィールドをタップしてURLを消してから...
検索クエリをはじめから入れなおさなければならない
検索クエリをはじめから入れなおさなければならない

アドレスバーと検索窓が分かれていることで検索のしなおしが簡単に

上記と同じことを、アドレスバーと検索窓が分かれている現状の iOS 版 Safari でやってみるとどうでしょうか。まずは「江ノ電沿線 ランチ 子連れ」で検索します。

「江ノ電沿線 ランチ 子連れ」というキーワードで検索
「江ノ電沿線 ランチ 子連れ」というキーワードで検索

SERPs (検索結果) から、あるサイトを開きます。開いたサイトからさらにリンクを辿るなどして、いくつか複数のサイトに行くこともあるでしょう。

SERPs (検索結果) からサイトを開く
SERPs (検索結果) からサイトを開く

その後、もう一度検索しなおそうと思いました。少しだけ条件を変えて「鎌倉 ランチ 子連れ 個室」と検索クエリを入力しようとします。検索窓をタップすると、先ほど入力した検索クエリがそのまま残っているので、検索のしなおしが簡単にできます。

クエリの一部「江ノ電沿線」を消して...
クエリの一部「江ノ電沿線」を消して...
「鎌倉」「個室」と差分だけ入れればよい
「鎌倉」「個室」と差分だけ入れればよい

UI は「シンプルでありさえすればよい」わけではない

実際に iOS 版 Safari でスマート検索フィールドが採用されなかった理由が上記のとおりなのか、真偽のほどはわかりません。ただ、OS X 版 Safari で新しくスマート検索フィールドを導入した時点で、恐らくアップルはモバイル (iOS) をも視野に入れたビジョンを持っていたのでは、と予想していただけに、UI (というか検索という体験をするための手続き) に一貫性がない現状は、なんだか落ち着かないものです。

今回のケーススタディから何か学べるとしたら、ユーザーインターフェース (UI) は「シンプル」であるにこしたことはないものの、一概に「シンプルでありさえすればよい」わけではない (実際のユーザー行動に照らしたときに障壁になるようなシンプルさでは、かえって逆効果になる) ということでしょうか。このあたりの課題をうまく解決できたとき、もしかしたら iOS 版 Safari でも (OS X 版と同じように) スマート検索フィールドが採用される...のかもしれません。