OS X 版 Safari 6 レビュー

Apple の新しいオペレーティングシステム「OS X Mountain Lion」のリリースに合わせて、ブラウザ「Safari 6」がリリースされました。既にお使いの方も多いと思いますが、主にユーザーインターフェース (UI) の観点から、簡単にレビューしてみたいと思います。

アドレスバーと検索窓の一体化 (スマート検索フィールド)

旧バージョンとの違いとして、もっとも目に付くのが、アドレスバーと検索窓の一体化 (スマート検索フィールド) ではないでしょうか。これにより、ユーザーは「自分が入力しようとしているのはドメイン名 (URL) なのか?検索キーワードなのか?」を区別せず、とにかく探している情報 (の手がかり) をこのフィールドに入れればよくなります。

「スマート検索フィールド」として一体化された、アドレスバーと検索窓
「スマート検索フィールド」として一体化された、アドレスバーと検索窓

このようにアドレスバーと検索窓が一体化したフィールドは、Google Chrome で既におなじみなので特に目新しさは無いのですが、Chrome に続いて Safari がこれを採用したことは、ブラウザのユーザーインターフェース (UI) のトレンドという観点で、とても興味深く感じます。

本来であればこういった一体化フィールド (スマート検索フィールド) は、表示領域の制約から、むしろモバイルでこそ歓迎される UI でしょう。その意味で、今回の OSX 版 Safari の変更 (スマート検索フィールドの採用) は、iOS 版 Safari にもいずれ反映されるだろうと思います。そうなった場合、大多数のモバイルユーザー (Android 標準ブラウザまたは iOS 版 Safari を使っている人) の間で「URL であれキーワードであれ、とにかくこのひとつしかないフィールドに入れればいいんだ」というメンタルモデル形成が急速に広まり、早かれ遅かれ、他のブラウザの UI デザインにも波及するのではないか...と予想しています。ユーザーの「主たる Web 体験の場」が PC からモバイルに移りつつある今日、他の PC 用ブラウザ (Internet Explorer、Firefox、Opera など) も、モバイルブラウザの標準 UI に追随する形で、いずれ一体化フィールドを採用してゆく...かもしれません。

タブの表示と選択

Safari 6 では、個々の Web ページを表わすタブが、ブラウザのウィンドウ幅いっぱいに、広がって表示されるようになりました。タブを切り替えるためにマウスポインターを移動する際、若干違和感を感じることがあるかもしれませんが、慣れの問題かな、とも思います。

ブラウザのウィンドウ幅いっぱいに広がって表示されるようになったタブ
ブラウザのウィンドウ幅いっぱいに広がって表示されるようになったタブ

また、タブの切り替え方法として、「タブビュー」というオプションが新しく用意されています。(マルチタッチトラックパッドをお使いの場合) ブラウザのコンテンツ表示の上にマウスポインターがある状態で、「ピンチ」(2本指でつまむ) のジェスチャーをすることで、下記のような画面を表示します。あるいは、タブの並びの右端にあるボタン (新規タブを開く「+」の、さらに右側のボタン) を押すか、「表示」メニューの「すべてのタブを表示」を選択することによっても、下記の画面を表示できます。

タブビュー (タブの切り替え画面) の表示
タブビュー (タブの切り替え画面) の表示

この状態で、2本指で左右方向にスワイプ操作することで、開いているタブを順に切り替えます。タブをタップすると、そのページをアクティブにすることができます。特に多くのタブを開いている場合、各ページの外観を目視確認しながら、見たいコンテンツにスムーズにアクセスすることができるので便利です。iPhone などで iOS 版 Safari をお使いの方であれば、おなじみの使用感ではないでしょうか。

閲覧中のコンテンツの共有

Safari 6 では、スマート検索フィールドの隣の目につきやすい位置に、共有ボタンが追加されました。iOS 版 Safari でもフィーチャーされている機能を移植してきたものですが、リーディングリスト (いわゆる「あとで読む」機能) やブックマークへの登録のほか、今見ているページをメールなどで誰かに送信したり、Twitter や Facebook に投稿することができます。

共有ボタン
共有ボタン

この共有ボタンによって、Web ページの閲覧から共有までの流れがとてもスムーズになったのですが、ひとつ残念なのが、Twitter への投稿機能において、ページタイトル (<title> 要素の記述) が自動表示されないことです。ユーザーが手動でテキストを入力しない限り、ページのリンク URL のみが Twitter に投稿されるという無味乾燥な仕様になっています。

共有ボタンのメニューで Twitter を選ぶと、下記のように Twitter への投稿内容を入力するウィンドウが開くものの、ページのタイトル (<title>) は自動的に取得/表示されない。
Twitter への投稿内容を入力するウィンドウ

同じ共有ボタンを使って、メールで送信する機能を選んだ場合は、<title> 要素の記述が件名として自動表示される仕組みになっているので、Twitter に投稿するときも、<title> 要素の記述を自動的に取得/表示してくれればいいのに...と思います。ちなみに iOS 版の Safari にも Twitter への投稿機能が標準装備されていますが、こちらも同様に、<title> 要素の記述を自動取得/表示してくれません。OSX 版、iOS 版ともに、今後の改善に期待したいところです。

閲覧中の Web ページをデバイス間で同期

Safari 6 ではまた、スマート検索フィールドと同列の目につきやすい位置に、雲 (iCloud) のアイコンのボタンも追加されました。

iCloud アイコンのボタン
iCloud のアイコンのボタン

これは、iCloud という仕組みを用いて、同じ Apple ID を使ってログインしたデバイス間で、開いている Web ページ (タブ) を同期できるというものです。Google Chrome の「開いているタブ (Web ページ) の同期機能」と同じと考えればよいでしょう (参考 : iOS 版 Chrome で体験するクロスプラットフォームな Web ブラウジング)。

もちろん、PC (OS X) の間だけでなく、モバイルデバイス (iOS) との間でも、開いている Web ページの同期は可能です (iOS 6 から対応予定)。

リーディングリストのオフライン対応化

Safari には「リーディングリスト (Reading List)」という、いわゆる「あとで読む」機能があります。従来は、オンライン (インターネットに接続している状態) でないとこのリーディングリストに登録されたページを開くことができませんでしたが、Safari 6 からは、オフラインの状態でもページを開けるようになりました。

リーディングリスト
リーディングリスト

MacBook Air や MacBook Pro を外に持ち出す機会が多い方にとっては、外出先で Wi-Fi 環境が無い (あるいは電波が貧弱な) ときでもスムーズに Web ページを見ることができるので、便利ですね。

このリーディングリストのオフライン対応化は、恐らくモバイルデバイス (特に携帯電話回線につながらない、Wi-Fi のみを搭載している iPad や iPod Touch) でこそ熱望される機能だと思いますので、今回の OS X 版 Safari での対応は、いずれ iOS 版 Safari のリーディングリスト機能にも反映されるのではないかと思います。


以上、簡単に Safari 6 の新しい変化を見てきましたが、総じて「モバイル」「タッチインターフェース」「共有」といった要素を視野に入れたアップデート、と言えそうです。「Web を利用する」という体験が、今後どのようになってゆくかを示唆しているようで、興味深いです。

また、今回のアップデートのいくつかは、やがて iOS 版 Safari にも反映されることでしょう (スマート検索フィールド、iCloud による同期、リーディングリストのオフライン対応可、など)。逆に、タブビューや共有ボタンのように、iOS 版 Safari で採用されていた機能が OS X 版 Safari に移植されるケースも、これから増えてゆくと思います。プラットフォームの違い (PC かモバイルか) を気にすることなく、シームレスな使用感で、より柔軟な Web 利用ができるようになってゆくのかな...という期待も抱かせてくれるアップデートで、今後がますます楽しみです。