モバイル Web への対応 (アプリは作るべきか?)

スマートフォンの普及によって、モバイル環境で Web を利用することも珍しくなくなってきました。これに伴い、「スマートフォン用のアプリをうちでも作りたいんだけど...」という話も多くなっています。モバイル Web への対応として、モバイルアプリ (スマートフォン用のアプリ) を作ることは、もはや必須なのでしょうか。

まずは本質の検討を

大事なのは、「モバイルアプリを作ることありき」ではなく、まずは本質的な問いかけとして、下記について熟考することだろうと思います。

現実的には、上記に加えて、開発や運営に割けるリソース (コストやマンパワー) も含めて総合的に判断することになります。

基本はモバイル Web サイト

多くの企業においてモバイル対応は、(無理にアプリを作らなくても) 基本的にモバイル Web サイトで十分可能なのではないか?と考えています。このように書くとなんだか消極的な印象を持たれてしまいそうですが、「モバイルアプリを作ることありき」な話が案外多いので、上記の「まずは本質の検討を」に立ち返る意味で、少なくとも初めはこのくらい慎重でもよいのかな、と思います。

「基本はモバイル Web サイト」と考えるのは、下記のメリットがあるからです。

モバイルアプリを作るほうがよいケース

「基本はモバイル Web サイト」であるにせよ、上記「まずは本質の検討を」で挙げた観点で熟考した結果、やはりモバイルアプリを作ったほうがよい、という判断に至るケースも当然あることでしょう。下記に該当する場合は、モバイルアプリを作ることも一考です。

モバイル Web サイトとモバイルアプリの境目が曖昧に

「モバイル Web サイト」vs「モバイルアプリ」のような構図で話をしましたが、今後は、サイトとアプリの境目は、下記のように次第に曖昧になってゆくと予想されます。

モバイル Web サイトとモバイルアプリの境目の曖昧化という意味で象徴的だなと思うのは、Facebook のモバイルアプリです。以前は、iPhone のホーム画面 (アプリのアイコンが縦横に整然と並んでいる) のごとく、Facebook 内の各機能がアイコン化されダッシュボード表示されていたのですが、現行バージョンでは、画面左側からメニューをスライドさせて開く UI になっています (これは、Facebook のモバイル Web サイトと同じです)。トレンドになりつつあるデザインパターンかもしれませんが (「Gmail」「Path」など、このようにメニューをスライドさせて開く UI を採用するアプリが増えています)、多様な OS/デバイスで共通の UI を提供できるメリットを重視した結果、とも言えそうです。

Facebook のモバイル Web サイトにおけるメニューのスライド表示
Facebook のモバイル Web サイトにおけるメニューのスライド表示
Facebook のモバイルアプリにおけるメニューのスライド表示
Facebook のモバイルアプリにおけるメニューのスライド表示

ちなみに、「Facebook におけるモバイル機器からの投稿数は、モバイル Web サイト (m.facebook.com) がもっとも多い (Android、iPhone、その他のモバイルアプリからの投稿数トータルよりも多い)」というレポート (2011年5月) があります。また、「Financial Times (英国の一流経済紙) は、モバイルアプリよりモバイル Web サイトのほうが多く閲覧されている」というレポート (2011年9月) もあります。上記の「まずは本質の検討を」の観点に立ち、「なぜ、敢えてモバイルアプリを作るのか?」という問いに対して明確な理由を持つことが、モバイルアプリの開発/運用において今後より一層重要になってくることでしょう。