簡潔な文章表現

近年、ウェブの閲覧環境が急速に多様化しています。従来であれば、PC (デスクトップ) からの閲覧が大半でしたが、スマートフォンの普及によって、モバイル端末からアクセスされることも普通になってきました。

PC (デスクトップ) 以外でもウェブにアクセスできるようになると、ちょっとした隙間時間や移動中/歩行中のように「じっくり腰を据えていない」状況であっても、情報を素早く読み取りたい、というユーザーの欲求が高まります。もともと、ウェブの文章はじっくり読まれない (斜め読みされる) ものではありましたが、その傾向はますます顕著になりそうです。

また、Siri のような音声認識ユーザーインターフェースがにわかに注目されていますが、「目や手が離せない」状況で、音声読み上げされたウェブコンテンツを「聞く」(シリアルに情報を読み取る) という行為も将来的には一般的になってゆくような気がします。

こうした状況を勘案すると、ウェブコンテンツの制作においては、簡潔に文章を表現するスキルが、今後より一層求められるようになるのは間違いないだろうと思います。

簡潔な文章表現を実現するための基本は、「テーマを絞って、そのテーマで本当に伝えたいことだけを書く」です。「当たり前」と思われるかもしれませんが、自分の知見を誇示しようと、つい、あれもこれも書いてしまう、という罠に陥ることがあるので要注意です。

そのうえで、私は以下に気をつけるようにしています。

加えて、意外に効果的だと感じているのは、見出し構成 (+各見出しの本文内容のひとこと要約) 程度の粒度で構わないので、文章の概要を空 (そら) で言ってみることです (口頭で伝えるような感じで)。そこでスラスラと言えれば、その文章で伝えたいことが明確であると言えます。逆に、スラスラと言えず詰まる、あるいは何かしっくりしない感じがする場合は、どこかで論理矛盾を起こしていたり、テーマに無関係な内容が盛り込まれている可能性があります。また、空 (そら) で言えるということは、伝えたいことが短期記憶の範囲内に収まるということでもあるので、読み手がコンテンツ内容を理解する際の認知的な負荷を軽減できる、ということも期待できそうです。