「ページが見つかりません」をどうユーザーに提示するか

ページが存在しないアドレス (URL) にアクセスすると、「ページが見つかりません」といったメッセージが表示されるのを見たことがあると思います。いわゆる「Not Found (404エラー)」と呼ばれる現象です。

Not Found (404エラー) が起こる原因としては、以下のようなものが挙げられます。

下図は、システム (ブラウザ) 側であらかじめ用意されている「Not Found」表示の例です。
システム側で表示する「Not Found」のデフォルト例
唐突にこのような無味乾燥な表示に出くわすと、ユーザーは不安を抱いたり混乱したりする恐れがあります。また、同一サイト内を回遊中にこのようなページに出くわすと、サイトの外に放り出されてしまった印象を与えかねず、ユーザーが目的達成をあきらめて離脱してしまう一因にもなり得ます。

このため、各サイトごとにオリジナルの「Not Found」ページをデザインするのが良い、ということが随分前からセオリーとしては言われていて、さすがに最近では、システム (ブラウザ) 側で用意しているデフォルト表示をそのまま使うサイトというのは少なくなってきています。ただ、実際には、これでいいのか?と思うような (ユーザーから見て不十分と言えそうな) オリジナル「Not Found」ページもよく見かけます。

ここでは、サイトを初めて立ち上げる方へのガイダンスとして、また、既存サイトにとってはユーザビリティが十分かを振り返るきっかけとして、「Not Found」の提示のしかたについて参考となる指針をまとめたいと思います。

凝ったデザインよりも、見慣れたデザイン

「Not Found」ページは、サイト内の他のページ (通常のページ) と視覚的なデザイン (ルック&フィール) を合わせるようにしましょう。見慣れたデザインの「Not Found」を示すことで、ユーザーに「サイトの外に放り出されたわけではない」ことを明示することができます。

中には斬新でユニークな「Not Found」ページのデザインもありますが (そういった例を集めて紹介しているブログ記事も、検索エンジンで探してみると色々あります)、そのような工夫はあくまでも「ユーザーのイライラや不安を軽減するため」と心得ましょう。デザインに凝りすぎて「悪い冗談」にならないように。「Not Found」ページのデザインは、不本意ながら横道にそれてしまったユーザーの目的達成を手伝うようナビゲートすることを意識したいところです。

リダイレクト

オリジナルデザインの「Not Found」ページであっても、単にトッッページにナビゲート (リダイレクト) するだけのものをよく見かけますが、自動リダイレクトはあまりおすすめできません。「何秒後にリダイレクト」という設定をサイト側で一律に決めてしまっていると、個々のユーザーの認知、判断、操作にかかる時間には差があるので、「ユーザーが理解してアクションする前に勝手にリダイレクト先に連れて行かれてしまう」という現象が起こり得ます。サイト側が提示するナビゲート先に行くかどうかの選択権は、ユーザー側にあるべきだと思います。

中には、待ち時間をまったく設けずに、瞬時にトップページやサイトマップに誘導するサイトもあります。これだとユーザーから見た場合、「xxのページを見ようとしてリンクをクリックしたのに、なぜかトップページが開いた」という具合に、単なるサイト制作/運営側のリンク設定ミスにしか見えず、「何が起こって、なぜこうなったか」をユーザーが適切に理解することができません。

「Not Found」をどうデザインするか

不幸にして「Not Found」ページを開いてしまったユーザーに対しては、ユーザーのペースに合わせる形で、ユーザーの目的達成を手伝うことを心がけると良いでしょう。リダイレクト処理はつけずに、以下のような内容を盛り込んではいかがでしょうか。

上記をできるだけ平易に伝え、ユーザーを袋小路にしない工夫が必要です。

リカバリー手段は複数必要です。たとえば、トップページへのリンクだけを設けた「Not Found」ページを見かけることが多いですが、仮にトップページからのリンク切れで「Not Found」を生じている場合、無限ループを引き起こしてしまい (トップページでリンクをクリック→「Not Found」が表示されトップページに戻る→また同じリンクをクリック...)、ユーザーにとっては何の解決にもならないからです。「Not Found」ページは本来、あってはならないものなだけに、実際に表示されてしまうケースも、サイト運営側にとって想定外なことが原因であることが大半です。フェイルセーフの観点で、できるだけ多くのリカバリー手段を提供しておきましょう。

複数手段としては、たとえば、各種ナビゲーション、サイト内検索、サイトマップへの誘導、などが挙げられますが、これらの要素は通常のページとできるだけ同じものを同じ位置に配置して、ユーザーのリカバリー行動の際に見つけやすくするという工夫も有効だと思います。

また、この機会に「お問い合わせ」に誘導するというのも、(ユーザーに嫌味な印象を与えるのでなければ) ありかもしれません。たとえば「お求めの情報について詳しく知りたいなどのリクエストがありましたら」といった具合です。

ちなみに、当サイトの「Not Found」ページはこんな感じです。参考例のひとつになれば幸いです。