ユーザビリティの側面からURLを考えてみる

URLとは、ブラウザのアドレスバーに表示される文字列で、簡単に言うと「どのWebページを開くか」を示したものです。このURL、何気なくWebユーザビリティに影響しているので、今回は、ユーザビリティという側面からURLのありかたについて考えてみたいと思います。

まず、URLの仕組みを少しだけ詳しく見てみると、スキーム、ホスト名(ドメイン名)、パス(ディレクトリ名およびファイル名)で構成されています。
URLの表示例

上図に例示したURL(http://website-usability.info/basic/index.html)には、下記の意味があります。

  1. 「HTTP」のスキーム(決まりごと)に従って
  2. 「website-usability.info」というホスト(ドメイン)にアクセスし
  3. その下のパス、つまり「basic(基礎知識)というディレクトリの中のindex.htmlファイル」を開く

さて、Webの閲覧にちょっと手馴れてきたユーザーは、このURL構成を手がかりにして、次のような行動を取ることがあります。

  • 今閲覧しているサイトが安心して利用できるかどうかを確認する。
  • 自分の現在位置を認識し、サイト内を回遊する際のオリエンテーションとする。

上記の行動が可能であるということは、ユーザビリティ(さらにはその行動によって得られるユーザーエクスペリエンス)に少なからず関係してくると言えそうです。では、こうした行動をサポートするような、ユーザビリティに優れたURLにするには、どうしたらいいのでしょうか?いくつか、ヒントを挙げてみたいと思います。

適切なドメイン名

ドメイン名は、企業名やサービス名、ブランド名などを適切に表現したものにします。そうすることによって、ブランディングに寄与する来訪してくれたユーザーに安心感を与える、という効果が期待できるからです。

併せて、ドメインには「www」を付けるのか(参照:URLにおける「www」の有無)、また、下位コンテンツはサブドメイン表示にするかパス(ディレクトリ)表示にするか、についても、(最適解はサイトの規模や提供するサービスの性質などによって異なりますが)長期的な視点で慎重に検討しましょう。

もちろん、ドメイン名は覚えやすい(ユーザーの記憶に残りやすい)ものが良いですが、闇雲に短くすれば良いというわけではなく、「名は体を表す」を意識して、サイトのコンセプトを過不足なく適切に表現したものを使用しましょう。

すでによく知られた企業ブランドをお持ちの場合は、個々の商品/サービスブランドの独自ドメインを新規取得して使うよりは、既存の企業ブランドドメインの配下にコンテンツを置くほうが、ユーザーのドメイン認知の面でも、検索エンジン経由での集客の面でも、有利な場合が多いと言えます(「PageRank」など検索エンジンによる評価をゼロから高めなくても済むので)。個々の商品/サービスへの思い入れは大切ですが、冷静なバランス感覚も同時に求められます。

わかりやすいディレクトリ名/ファイル名

わかりやすいパス(ディレクトリ名およびファイル名)を提示することで、ユーザーはサイトの階層構造を類推することができ、また、自分の現在位置を認識することができます。これはユーザビリティの観点で、有力な手がかり(ユーザーに対するオリエンテーション)になり得ます。

ディレクトリ名/ファイル名は、英数字での記述が基本なので、わかりやすさ(意味の伝わりやすさ)を追求するならば、英語のフルスペルが適切でしょう。勝手に略記したり(たとえば「基礎知識(basic knowledge)」というディレクトリがあるとして、そのパスを「b-knowledge」と表記するなど)、日本語をローマ字表記したり(「基礎知識」のパスを「kisochishiki」と表記するなど)すると、ユーザーには確実に意味が伝わらないかもしれません。もちろん、英語的に自然な略記をするのは構いません。たとえば、投資家向け情報(一般的に「IR」と呼ばれています)のパスに「ir」と記述するのは、許容されると思います。

最近では、Wikipediaのように、日本語(2バイト文字)がパス名に使われるケースも見られるようになってきました。ただし、環境によっては、長い暗号のような英数字に展開されてしまうこともあるので、扱いには注意したいところです。

パーマネントなURL

上記で触れた「適切なドメイン名」「わかりやすいディレクトリ名/ファイル名」に加え、最近とみに重要になってきているのが、URLはパーマネントであるべき、という考えかたです。「パーマネント」とは「恒久的な」という意味ですが、要は「将来に亘ってもURLがコロコロ変わらないこと」が大切になっているのです。これは、主に以下のような背景があるからです。

  • 検索エンジンのインデックス(ひいては「PageRank」など検索エンジンからの評価)の維持
  • 被リンクを受けるチャンネルの飛躍的な増大(RSSフィードの普及やソーシャルブックマーク、Twitterでの引用、など)。

Webサイト(ページ)間の「つながり」が多彩かつ緊密になってきていること(しかも加速度的に)、それによってユーザー行動も影響を受けることを考えると、広い意味でのWebユーザビリティ(自サイトだけでなく外部サイトも含めて、ユーザー行動をトータルで考慮した上でのユーザビリティ)という観点で、URLのユニークネスをパーマネントに維持することは、URLのありかたを決める上で最重要ポイントとさえ言えるかもしれません。

パーマネントなURLの実現を優先しようとすると、場合によっては、上記の「わかりやすいディレクトリ名/ファイル名」という指針を満たせないことがあります(たとえば、サイトのコンテンツを分類するカテゴリーが将来変更される可能性がある場合など)。その場合は、ディレクトリ構造(階層構造)をわかりやすくURLに盛り込むことに固執せずに、逆にカテゴリー分類が変わってもユニークネスが維持できるようなロジックでURLを実装する、というのも判断として「正しい」と思います。


いかがでしょうか。昨今ではWebページへの流入は検索エンジン経由が大半で、URLを入力してアクセスすることが減っているので、URLの重要性を低く見る風潮があるようです。しかし、URLはWebページの存在を表す重要なデータであることを今一度認識した上で、ユーザーの利便性にかなうようなURLの運用を少しでも意識してみると良いでしょう。