文字拡大/縮小機能を使うときは代替手段も明示する
- 公開日 : 2008年4月1日 (2011年1月11日 更新)
- カテゴリー : アクセシビリティ
(2009年10月30日追記)
諸事情により、このコラム記事で扱っている文字拡大/縮小機能は、当サイトから外すことにしました。詳しくは「文字拡大/縮小機能の実装を外しました」をご参照ください。
「Webページにおける文字の拡大/縮小機能」でご紹介したように、当サイトでは、JavaScriptを使った文字拡大/縮小機能を実装しています。本来はブラウザ側で持つべき機能であって、Webページ(コンテンツ)側に実装するのはどうかと思いますが、多くのブラウザで文字拡大/縮小機能がメニューに隠れてしまっている現状(そのため多くのユーザーは文字サイズを任意に変更できることを知らない)、少しでもユーザーの助けになればという観点で考えると、現時点ではそれなりに意義があると思っています。
そんな中、同様のソリューションを提供しているWebサイト(ホームページ)も少なくありませんが、問題はその大半が、JavaScriptが無効なブラウザでも文字拡大/縮小機能が表示されっ放しで、クリックしてもリアクション(フィードバック)が無いことです。
たとえば以下のサイトを、JavaScriptを無効にした状態でご覧いただき、文字拡大/縮小機能をクリックしてみてください(JavaScriptの無効のしかたがわからない場合は「ユーザビリティ/アクセシビリティとJavaScript」で紹介しているのでご参照ください)。
(残念なことに、本来プロであるWeb制作会社(しかもユーザビリティ/アクセシビリティをセールスポイントに掲げている会社)ですら、このあたりに無頓着だったりする例が散見されますね…。)
実際のユースケースとして、JavaScriptが無効な状態でサイトが閲覧されるケースはたしかに少ないと言えますが、本来アクセシビリティ改善のために実装した機能が、これでは本末転倒な気がします。以下の対策をきちんととることが大事だと思います。
- JavaScriptが無効なブラウザでは、JavaScriptによる文字拡大/縮小機能を表示しない。
- JavaScriptに依存せずとも文字拡大/縮小できる代替手段を示す。
「代替手段を示す」ですが、具体的には、元来ブラウザのメニューに用意されている文字サイズ変更機能を紹介するページを設け、<noscript>要素を使って、そこにわかりやすくナビゲートするなどが考えられます。
「ユーザビリティ/アクセシビリティとJavaScript」でも述べたように、JavaScriptが使えない環境下であってもユーザーにストレスを与えないよう、JavaScript非対応の閲覧環境も想定して動作をシミュレートしてみることが大切です。文字拡大/縮小機能をWebページ内に実装されているWebマスターさんは、この機会に念のため、ご確認いただくことをおすすめします。
この記事へのコメント : 4件
みかんさん、コメントありがとうございます。(そして、お久しぶりです!)
「Webページにおける文字の拡大/縮小機能」は、もう1年近く前の記事になるのですね…。自分でもびっくりです。
ところで、「様々なユーザーによるモニターテストをやっていないんでしょうかねぇ。」のひとこと、本当にそのとおりだと思います。
最近はAjaxによるユーザーインターフェースづくりも盛んで、JavaScriptを使えることがますます当たり前になってきていますが、それだけに、「JavaScriptが使えない(使わない)ユーザーへの配慮」がおざなりになっている傾向が強くなっている気がします。杓子定規にJavaScriptを否定する必要はないにせよ、JavaScriptに依存しすぎないUIというのも、きちんと配慮する必要があると思います。
みかんさんの活動されているNPOでは、どんなテストをされていますか?興味アリです。
Kazさん、ご返答ありがとうございます。WindowsXPのSP2が配布された頃、地元の自治体サイトで映像を動かせる機能つきページがあり(現在は削除)、一部のIEユーザーが閲覧できない、という現象がありました。もちろん拡大・縮小ボタンも機能しません。当時MSとSunのJavaに関する係争中で、Sunのjavaを独自でインストールしIEを設定する必要があったのですが、初心者にはそのようなことは想像できず、「利用するためには」といったページを作っていただくよう要望したことがあります。PDFも「最新版をインストール」というメッセージ画面が出たら、初心者や視覚障害者は対処できません。自治体にはそういったことを報告し、代替手段を用意してもらうように要望し続けているのですが、なかなか前進しません。
私どもが行っているユーザーテストは、視覚障害(弱視者、色覚特性者、全盲者)、四肢マヒ(口でマウスを操作)、初心者、高齢者で行っており、診断ソフト(サイト)と併用し診断しています。場合によっては上肢障害(足でマウスを操作)、聴覚障害、母国語が日本語でないユーザーにテストをお願いしています。ただ、どこの自治体も企業も予算をつけてくれるところはなく、もっぱら勝手にユーザーテストをして、新聞等に投稿するしかない状況で、無力感を感じています。
PDFの最新版はアクセシビリティをユーザー側で設定できるようになっていますが、視覚障害者によるテストでは設定項目の文言が理解できず(難解な上に英語の直訳のような文章で、見えていても読み返さないとわからない)、自力では設定できませんでした。話題が逸れてしまってすみません。
みかんさん、お返事ありがとうございます。生々しい現場のご苦労が伝わってきます。テクノロジーによって表現が豊かになるのはすばらしいことですが、それを体験するまでの敷居が高いようでは、本末転倒ですよね。「PDFの最新版のアクセシビリティ設定」(Adobe Readerのことでしょうか?)の日本語ローカライズの問題など、「実装すればいい」という姿勢ではなく「実装するからには本当にユーザーに伝わるように」不断の努力が必要だと思います(自戒も込めて…)。みかんさんのNPOでは、視覚障碍、四肢マヒ、高齢者、上肢障碍、聴覚障害といった身体的ハンディキャップを負った方だけでなく、母国語が日本語でないユーザーやインターネット初心者の方も含めてテストをされているとのこと、興味深く拝読しました(「アクセシビリティ」イコール「障碍者/高齢者対策」という狭い理解をされているインターネット関係者が多い中で…)。「ただ、どこの自治体も企業も予算をつけてくれるところはなく、もっぱら勝手にユーザーテストをして、新聞等に投稿するしかない状況で、無力感を感じています。」というのは、本当に悩ましいですね。私自身も、数々のWebプロジェクトに関わる中で、ユーザビリティやアクセシビリティの優先度を下げられてしまう経験を幾度となくしているので、少しはお気持ちわかります。でも、今後ますます、我々のような活動は地道ながらも評価されると信じています。またぜひ、色々と教えてください!
(2008年4月2日)
「Webページにおける文字の拡大/縮小機能」でコメントさせていただいた、みかんです。その節はありがとうございました。あれから1年、この問題を忘れずにいて下さってうれしいです。
今回、ダメサイトのご紹介もありましたが、様々なユーザーによるモニターテストをやっていないんでしょうかねぇ。自治体サイトを手掛けるのなら必須だと思うのですが。