できることを少しずつ「継続は力なり」の精神で

ユーザーにしてみれば、Webサイト(ホームページ)のユーザビリティアクセシビリティは、当たり前にきちんと確保されていて欲しいものです。その一方で、私自身これまで様々なサイト構築プロジェクトに関わってきた経験で言いますと、すべてが満された理想的なユーザビリティ/アクセシビリティを(一度で)実現するというのは、なかなか容易ではないなあ、という実感があります。(サービスを短期間で立ち上げなければならない、話題になりそうな華やかな演出を優先しなければならない、社内ステークホルダーのWebリテラシーやパワーバランスに合わせて合意形成する必要がある、などなど、様々な制約/阻害要因がありますよね...。)

数年前(たしか、2003年だったと思います)にテクニカルコミュニケーター協会主催の「TCシンポジウム」のパネルディスカッションを聴講した際、ユーディット(情報ユニバーサルデザインのコンサルタント会社としてはパイオニア的存在です)主任研究員の濱田英雄さんが最後におっしゃった一言が、とても印象的で、今もはっきりと頭に残っています。それは、アクセシビリティの改善は、できることを、少しずつでも実行することが大事、というものです。

濱田さんご自身は生まれつき障害(「先天性両手足指欠損」1種1級)をお持ちで、一消費者の立場としては「一刻も早く、世の中すべてのWebサイトが(もちろんリアルワールドの各種サービスや製品もですが)アクセシブル/ユニバーサルになってもらわないと困る」はずだと思います。にも関わらず、ご自身の長年のコンサルティング経験からでしょうが「できることを、少しずつでも」とおっしゃったことに、この問題の根の深さ(解決することの難しさ)をずっしりと感じます。

ユーザビリティやアクセシビリティの議論をしていると、どうしても「優れているところ」よりも「至らないところ」に目が行ってしまい、その「至らないところ」を批判する風潮になりがちです。ユーザーインターフェースは目的ではなく手段であり、「優れているところ」は(あたかも空気のように)意識されない性質のものなので、ある意味、しかたないことではありますが...。さらに、ユーザビリティは「万人にとっての使いやすさ」ではないという側面もあるので、気をつけないと安易に「このサイトはユーザビリティがダメダメだよなあ」という非建設的な話に流れる恐れがあります。

私が残念に思うのは、「万人向けに完璧なユーザビリティ/アクセシビリティが実現できないのならば、そこにエネルギー(コスト)をかけるのはやめよう(優先度を下げよう)」という判断が、無意識的に、かもしれませんが稚拙になされてしまい、本来ユーザー主導型メディアであるWebにおいて、顧客ロイヤリティを育む機会を損失してしまうことです。

濱田さんのおっしゃっていたことを、私なりに少し膨らませて解釈すると:

...ということだと考えています。小さな成功体験が周囲の理解や同調を生み、それが次の改善への追い風になることだってあるかもしれません。まさに「継続は力なり」ですね。

このサイトも、引き続き微力ながら、Webユーザビリティ/アクセシビリティ向上に役立つ情報を発信してゆきたいと思います。今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。