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別ウィンドウを開くことの是非

Webサイトを制作していると、<a href="xxx" target="_blank">などとマークアップして、リンク先ページを別ウィンドウを開くようにしたいと思うことがあるでしょう。たとえば、以下のようなケースです。

  • 別サイトにリンクする場合(できれば 別サイトを回遊した後、自サイトに戻ってきてもらいたい)
  • 開いたページであれこれ操作が予想され、その間、元ページは残しておきたい場合(ブラウザの[戻る]ボタンではすぐに戻れないケースなど)

お気持ちはよくわかるのですが、ユーザビリティアクセシビリティの観点で考えると、リンクは別ウィンドウを開くべきではないと考えます。理由は、以下の通りです。

  • 初心者ユーザーやシニアユーザーは、別ウィンドウで開いたことに気づかないことが多い。特にブラウザを最大化表示している場合、ウィンドウが完全に重なった状態(元ページが完全に隠れた状態)になってしまい、前面に出ている(別ウィンドウの)ブラウザ画面では[戻る]ボタンがグレーアウトしているので、ユーザーは「前のページに戻れない」と戸惑ってしまう。
  • 視覚障碍者が音声ブラウザや読み上げソフトを使用している場合、別ウィンドウで開いていることに気づかない。別ウィンドウで開いているページから元のページに戻ろうとしても、[戻る]機能が使えないので、落とし穴にはまったかのようなフラストレーションを与えてしまう。

私自身も経験があるのですが、別ウィンドウを開くことをサイト制作/運営上OKとしてしまうと、(ウェブ制作者やウェブマスターにとっては)ついつい便利なので、様々なリンクを別ウィンドウで開いてしまいがちです。そうすると、特に上肢に障碍のあるユーザーにとって、ウィンドウを閉じる作業がめんどくさくなってしまうことも、併せて考慮しておくとよいでしょう。

ちなみに、多くのユーザーは、ブラウザの[戻る]ボタンを頻繁に使います。何度かページを切り替えて、複数ページ分戻りたいケースでも、たいがいは[戻る]ボタンを繰り返し押すことで解決しています。その一方で、別ウィンドウで開きたいとユーザー自身が思ったときは、自分でそうします(最近のモダンブラウザでは、「別ウィンドウ」で開くか「別タブ」で開くかまで選択できますね)。その意味では、別ウィンドウで開くかどうかは、ユーザー側に選択権を与えるべきとも言えますね。

なお、<a>要素のtarget属性は、HTML 4 Transitionalで非推奨となっており、HTML 4 Strict、XHTML 1.0 StrictおよびXHTML 1.1では完全に抹消されました。また、W3Cの勧告「Web Content Accessibility Guidelines 1.0」でも以下のように規定されており(チェックポイント10.1)、ユーザーの意思と関係なく別ウィンドウで開くことは、よくないこととされています。

Until user agents allow users to turn off spawned windows, do not cause pop-ups or other windows to appear and do not change the current window without informing the user.

ユーザエージェントで新しいウィンドウを開かない設定ができるようになるまでは、ユーザに知らせることなしに新しいウィンドウを開いたり、現在のウィンドウを変更しないようにする。

(日本語訳は、ZSPCさんのサイトより引用させていただきました。)

以上のことから、極力、別ウィンドウを開かなくてもすむユーザーインターフェース設計(ページ間の移動など、サイトトータルのインフォメーションアーキテクチャを含め)を考えたいものですね。

(2007年5月21日 15:42)

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いただいたコメント(7通)

ブラウザにAll-In-One Sidebarのようなマルチパネル機能があればいいのですけどね。

All-In-One Sidebar
http://firefox.geckodev.org/index.php?All-In-One%20Sidebar

そろそろブラウザにはマルチパネルを常備すべきじゃないだろうか…
http://blogpal.seesaa.net/article/36542683.html
>けど、マルチパネルを使って、サイドバーに検索結果を表示する、あるいはサイ>ドバーにはてBホッテントリを表示するってのをやると
>
>クリック→閲覧→クリック→閲覧→クリック…
>
>と、タブやらウィンドウ閉じたりする必要がないんで便利なんですよ。これが激>しく便利でして。これをやっとくと、web閲覧の際にクリックする回数を減らせ
>るので、個人的には気に入ってるんです。(グーグルの表示件数を多めにしてい
>るのも、これが便利だからです)

ナレッジエースさん:

トラックバック、ありがとうございます。
興味深く拝見させていただきました。

target属性をブラウザで無視できれば良いというアイデアは、とても面白いですね。

riku_mioさん:
コメントありがとうございます。

「All-In-One Sidebarのようなマルチパネル機能」、面白いですね。
ただ、この手の機能は、たくさんの情報を処理/消化できるパワーユーザーにとってはものすごく便利だと思いますが、大半の一般的なWebユーザーが使いこなせるか(使う必要性を感じるか)は、微妙なところだと思います。

Webブラウザで動作する防災システムなどを考えた場合、視覚や聴覚に不自由がある方への配慮が必要です。
単純で一般的な(推測できる)動作であれば多くの人が利用できる。

システム開発の立場から言えば、別ブラウザを開くようにすると余計なロジックが必要になる印象があります。
例えば、親ウィンドウを閉じたら子ウィンドウを閉じたり、親ウィンドウがなけれなどうするかを考えたり・・・

別ウィンドウで開くかどうかは「ユーザー側に選択権を与える」という意見に賛成です。
もちろん、別ウィンドウで開いても正常な動作を保証できる設計が求められますね。

imatakutinさん:

システム開発のお立場からのご意見、ありがとうございます。

> 単純で一般的な(推測できる)動作であれば多くの人が利用できる。
というご意見、まったく同感です。これこそが、ユニバーサルデザインの基本理念だと思います。

アーキテクト :

なんというか、より良い代替案なく、ただ別ウィンドウは良くないというのは説得力に欠けます。
より良い案あっての議論ができるといいですね。

アーキテクトさん:
コメントありがとうございます。ぜひ、よいアイデアがありましたら、お聞かせいただきたいと思います。私自身は、一概に「別ウィンドウは良くない」と否定しているわけではないんですね(実際、自分自身が一人のWebユーザーとしてサイトを利用する際には、別ウィンドウや別タブを開いて使うこともありますし)。ただ、Web制作/運営側が一方的に「ここは別ウィンドウで開くんだよ」とtarget指定をした場合、それについてゆけないユーザーが多いという事実を、ユーザーテストなどを通じて(少なからず客観的に)体感しているので、あくまでも「(別ウィンドウを使うかどうかは)ユーザーが自由に判断できるようにしておくべき」と申しているつもりです。また、コラム記事本文でも書いているように、アクセシビリティの面でも課題があります。このあたりは、サイトのターゲットユーザーをどうするかによって判断がわかれるのかもしれませんが、個人的には、敢えてわざわざアクセシビリティを損ねてもよい積極的な理由を持っているサイトが、そんなに多いとも思えないですね。

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