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Flashの正しい使いかた

最近はブロードバンド環境が当たり前となり、Flashを採り入れたサイトも当たり前のように見かけるようになりました。しかし残念ながらその多くは、Flashを使ったクリエイティブが「目的化」していて、ユーザビリティを損ねているように思います。

いくつか例を挙げてみましょう。(2006年8月14日現在)

  • 某観光ホテルのサイト
    ユーザーインターフェースに全面Flashを採用しており、クリック時のローディングで不必要に待たされます。せっかくきれいな写真が多く、魅力的なコンテンツを持っているのだから、Flashを使わずに「ユーザーがクリックしたらすぐにその情報を提示する」ほうが、ユーザーの満足度(ひいてはホテルへの好感度)も上がると思います。
  • 某有名商業施設のサイト
    ナビゲーションにFlashアニメーションを使っており、クリックした内容を見るのに待たされます。また、ショップ紹介とフロアガイドの連動など面白い試みもありますが、画面変化が複雑です(いちいち施設全体の立体俯瞰図からアニメーションが始まるなど)。不要なギミックを使っていないかユーザー視点で再検討し、本当に必要な(役立つ)情報にしぼって表示しないと、ユーザーはつい凝ったアニメーションに気を取られてしまいますので、「あれ?何を見ようとしていたんだっけ?」と混乱してしまいます。
  • 某スポーツアパレルブランドのサイト
    Flashスプラッシュページが出てきて「ENTER」をクリックしたら、またFlashページが出てきて、キャッチコピーがアニメーション表示されます。このキャッチコピーは、わざわざアニメーション表示させる必要があるのでしょうか?私だったら、検索エンジンからの集客(SEO)やアクセシビリティも考慮して、テキストにします。

Webユーザビリティの第一人者と言われているJacob Nielsen(ヤコブ ニールセン)氏は、もう6年近く(!)前になりますが、Flashは99%有害であるという見解を発表しています。当時はFlashが使われ始めた頃で、物珍しさもあってWebクリエーターたちがやたらとFlashによる派手な演出に精を出していた時代です。今となっては、「99%有害」というのは少し言い過ぎな感じもしますが、現状を見るにつけ「今もそんなにあの頃と変わっていないのでは?」と思わざるを得ません。誤解の無いように付け加えると、Flashというツール自体が「有害」というわけではなく、Flashを使ってWebクリエーターが自己満足的な「作品」を作ってしまうこと(Flashを使ったクリエイティブが「目的化」してしまうこと)が「有害」なのです。

このサイトの記事「良いWebサイト」考察で述べているとおり、Webサイトは「目的」ではなく「手段」です。Webコンテンツは、Flashを使っていようがいまいが、あくまでもユーザーエクスペリエンスに寄与するものでなくてはなりません。

そういう観点で考えると、たとえば下記のWebコンテンツは、Flashを効果的に使っている好例と言えます(2006年8月14日現在)。いずれも、HTML+画像だけではなかなか伝わりにくい魅力を、インタラクティブなユーザーインターフェースを通して疑似体験させることで、ユーザーエクスペリエンスを高めています。

  • イマージュ(ファッション通販)の「コデくる」
    トップやボトム、くつやグッズ(かばんなど)を着せかえて、コーディネートをあれこれ検討することができます。前後左右のアングルはもちろん、モデルの顔立ちや背景シーン(街角のカフェや海外、お部屋など)も切り替えることができます。作成したコーディネートには点数が付くのでゲーム感覚で楽しむことができ、気に入ったコーディネートは、そのままショッピングカートに入れられるという、完璧な動線(お見事!)です。
  • コルグ(電子楽器メーカー)の「micro KORG」
    ボコーダー機能を搭載したシンセサイザーの紹介ページです。「オンライン・プレゼンテーション」をクリックすると、micro KORGを紹介するFlashが起動します。「VOCODER」メニューをクリックすると、ボコーダーという楽器を知らない人でも、「こう接続してこうパネル操作すれば、こう楽しめるんだ」というのが視覚的/聴覚的にわかりやすく伝わるようになっています。

いかがでしょうか?
Webサイト(ホームページ)制作業者の中には、やたらFlashを提案してくるところがあります。それは「Flashにしたほうがクライアント企業に対して高く請求できるから」です。Flashは上手に使えばユーザー(お客様)の満足度を高めることができますが、レベルの低い制作業者が提案するFlashコンテンツは大抵、この記事の冒頭で挙げた失敗例のような企画を平気で持ち込んできます。限られた制作/運営予算を無駄にしないためにも、Flashを使うことの意義をしっかりと確認しておく必要がありますね。

(2006年8月14日 10:29)

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いただいたコメント(3通)

(管理者判断により割愛) :

クライアント企業の予算が十分な場合は、複雑な Flash を使うことでコンペに勝てる(おじさん達の拍手が多い)という要因もあると思います。
また、映像業界から降りてきたディレクターの好みという理由も考えられます。

Flashの使い方に関して、全く同感です。特に高級ホテルや旅館には多く使用されていますが、利用者は高齢者が多い訳で、反感を買っているという事実に気がついていませんね。メインはテキストベースで、サブで(見たい人にだけ)Flashによるプロモーションを提供するのがベターだと思います。

コメント、ありがとうございます。

「複雑なFlashでコンペに勝つ」という要素は、残念ながら実際にあることは私もよくわかります。ただ、本来クライアント企業は、サイトのROI(費用対効果)を向上させたいハズです(今は、たまたまその企業の担当者/上司がROIの測り方を知らないだけかもしれません)。その意味で、複雑な(だけ)のFlashしか提案できない制作会社には、将来は無いように思います。

48Luckさんのご指摘、まったくその通りだと思います。「高級ホテルや旅館」は「高齢者の利用が多い」というのは、まさに事前のコンセプトワークで得られる事項ですね。こうしたコンセプトワークに基づいて、Flashを使うのが有効かどうかを検討すれば、より適切な解を導きだせるのでは、と思います。

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